2005/03/12

"Hello, Goodbye"

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今週は忙しくて、ブログどころではありませんでした。
せっかくの休みの晩なのですが、メシネタではなく超久々の音楽ネタです。

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今から21年前。

私は「宅浪」という世の中で一番役に立たない生き物でした。
「宅浪」と聞けばドテラを着て牛乳瓶メガメにネジリ鉢巻、なんて姿を想像しますが、
私の場合は勉強などろくにせず、実態は行き場の無いプーだったわけです。
今じゃ「ニート」なんて言葉があるみたいですナ。

なにせ勉強をしないもんだから、時間はあるけど金は無いしで、
アルバイトは色々とやりました。
ドカチン・引越し等の肉体労働から、ファミレス、ホテルマン、事務職等々。
ホテルバイトで電話応対を覚えたし、事務バイトでブラインドタッチを身に着けたのです。
で、話は前後しますが、19の時に憧れだった「ミスタードーナツ」でバイトをしました。

今まで何度も書いてきているのですが、揚げ立てのドーナツというのはとってもオイシイ。
コレを盗み食いしている時は“あ~ウメエなぁ~こんなウメエもんタダで食えて良いバイトを
選んだもんだよなぁ~”とつくづく思ったものです。


けれども、このバイトで良かったのはそこんとこだけ。

私が選んだ働く時間は夜11時~朝7時。当時、女性は深夜働くことは出来ません。
まぁそれはどうでも良いとして、深夜というのは客層がえらく悪いのです。
店内は昼間と同じOSAMUグッズや所ジョージのポスターが貼ってあって、
爽やかな雰囲気を醸し出しているのですが、客は全然爽やかでは無い。
泥酔客は店内でゲロを吐くし、ヨッパらいどおしの喧嘩も多々。
毎日3時過ぎにやってくるアヤシゲなオババから、
私は何故か“消防士さん”と呼ばれていました。
そして一番困っていたのは、この店は不良の溜まり場だったのですよ。

毎晩5~6人がコーラとドーナツだけで2時間くらい居座る。
もうねえ凄いんですよ。他の客がいようが大声で猥談をしまくるし、女が一緒だと平気でキスとかしてる。
便所でシンナーは吸うし、こっちが見て見ぬ振りをしてるのをいいことに散らかし放題。
他の客なんて店の中に入った途端、異常な雰囲気を察知して直ぐに出てっちゃうんですよ。
このバカどもがいなけりゃなぁ~、と毎晩思っていました。


その晩の店は22歳の副店長と私の二人だけでした。

��2時過ぎにいつものバカども5~6人がやってきて、
しばらくしたらパララパララパララ~と族車に乗った仲間達がやってきて、
あっという間に店内は暴走族20数名で満席になりました。
深夜に満席になることなど無いのですが、それが全員暴走族!!
これはですね。もうおっかないなんてもんじゃないですよ!
私はその場で直ぐにでもバイトを辞めたいと思いました。

ヤツラは大声でバカ話をしまくり、アーリーアメリカンな店内は紫煙で霞んでいます。
我々店側の小市民二人はドキドキしながらも何も無い振りをし、
「ありがとうございます」なんてマニュアル通りに返事をし、
早く時が過ぎることを願っていたのですが・・・

特攻服を着た眉毛の無いヤツラのリーダーが、コーヒーのマグを灰皿にしていたのです。
これを見つけた副店長。今まで溜めに溜め込んできたものが遂に切れてしまった!


「いい加減にしろよ」

店内一瞬沈黙。

「ああぁ?おまえ今なんて言った?」
「灰皿にすんのはやめろよ」
「もう一度言ってみろよ」
「やめろって言ってんだろ」

この時、店内BGMがニセモノビートルズの「ハロー・グッドバイ」になりました。
♪ゆーせぃいえす あーせぃのー 

「生意気言ってんじゃねえぞこのやろ」特攻服が副店長に掴みかかる。
♪ゆぅせぃすとっぷ ばらあせぃごぅごぅごー

「こんな店ぶち壊しちまえっ」
♪おぅのぉー ゆーせいぐばーぃ あんなーせぃはろー

うぉ~っと20数名の暴徒が襲い掛かってきた!!!
♪はろー はろー あいどんのーわいゆーせいぐっばい あいせーはろー

私もどちらかと言えば体格は良い方なのですが、4人くらいに羽交い絞めにされ身動き出来ない。
副店長も数名に押さえつけられてぶん殴られ、
他の暴徒はショーケースを割ってドーナツを店中に撒き散らしている・・・

ヤツラは(多分)5分くらい暴れに暴れまくり、パララパララパララ~と出て行きました。
メチャクチャにされた店内には鼻血顔で泣いている副店長と、最後まで何も出来なかった私。
��GMはニセモノカーペンターズの「シング」に変わっていました。

♪らんららららーら らんららららーら らららららら・・・

このあと警察に電話をして30分くらい状況聴取があり、朝5時前に一人逆恨みをした特攻服が
再びやってきて、ここで一立ち回りがあるのですが、話が長くなり過ぎるので省略。
翌日、店の危機と思った店長が地元の「有力者」に話をしに行き、
それ以降ヤツラはピタリと来なくなりました。
かなりの金を払ったというバイト同士のウワサでしたが、どんなもんだったんでしょうか。


今まで40年生きてて一番恐かったお話。
「ハロー・グッドバイ」がかかると、今でもたまに金八先生で加藤君が暴れた時のように
あの時の光景がフラッシュバックするのです。


長過ぎたかな?まあ休みの晩だし。


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叶わぬ願いの一つとしてビートルズと同時代を生きてみたかった、ということがある。
現役時代を知らない我々には「世界を動かしたビートルズ」なんて大げさに書いて
あるのを読むことはあるが、きっと当時だってスポーツ紙の一面を飾る程度の扱い
だったんじゃないのかな・・・と、私は思っている。

アルバムを出すごとにどんどん進化していくビートルズを、当時の音楽ファンは
狂喜しながら聴いていたのではないか。
なんと言っても今のCDと40年前のLPは同じ値段なのだ。
彼らはひざを抱えてステレオの前に座り、音を噛みしめるように大切に聴いていたに違いない。
もうこれからはそんな風に音楽を聞くことなんて無いんだろうね。

ジョン・レノンもジョージ・ハリスンも死んでしまい、今や還暦を過ぎたポール・マッカートニーと
リンゴ・スターしかいないビートルズ。
それでもビートルズの曲を1曲も知らない、なんて人はいないんじゃないだろうか。
やっぱり凄いですよビートルズは。

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