2004/08/11

「誰も知らない」

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昨日はほぼ定時に上がって、会社近くのチネチッタで見るべえと行ったら
上映まで1時間半あるのに満席SOLD OUT。
コンビニで立ち読みしても、コレあんましやってないんですよ。
帰ってメシ作るかそれともブリカマ食うか寿司屋行くか迷ったものの、
今日逃したら見ないような気がしたんで、1時間ちょっとかけて
東武練馬のワーナーマイカルシネマまで見に行ってきました。
ここも9時半からのレイトショーだってのに、1時間前着で殆ど席が残ってなかったですね。
今日の席も売り切れが多かったです。

予告編でやってた竹中直人が出る田舎の女子高生のジャズバンドの映画が
面白そうでした。題名なんだっけな?

この映画で今年のカンヌ映画祭主演男優賞を取った柳楽優弥(やぎらゆうや)
ってテレビで見たとき、タメ口で感じ悪いなーって思ってたんですよ。
私このあたりウルサイんで。
でも映画見たらまだ子供ですよ!いくつくらいなんだろう。12~3?
タメ口もまぁしょうがないな、と思い直しました。

��月29日の朝日新聞朝刊で、作家の石田衣良がこの映画のことを書いています。
ワタシ文章力無いんで勝手に引用(マズいんだろうな~)&ネタバレを
含みますので、以下more機能を使わせてもらいます。


「西巣鴨子ども四人置き去り事件」の概要はこうだ。
父親の違う四人の子どもを捨て、母親は新しい恋人の元に走る。戸籍もなく、
学校へもいけない四人は、忘れたころ母親から送られてくる現金書留を頼りに、
アパートでなんとか半年を生き延びる。しかし、一番生命力の弱い末妹を
悲劇が襲い、幼い共同生活は崩壊する。



お母さん役はタレントのYOUです。このしょうもないお母さんを好演しています。
四人の長男が柳楽優弥でタランティーノが言ってたように、目がとても印象的です
��特にミスタードーナツのシーン)。
他三人の子どもたちも自然でとってもうまい。
主な出演者はあと後半に出てくる女子高生だけで(えらいカワイイ)、
物語は四人の日々の生活を淡々と写していきます。


親からも社会からも忘れられたアパートの一室で、四人の子どもたちは、
知恵と勇気をしぼって生き抜いていく。
日々の生活だから厳しいことやつらいこともあるけれど、四人はちいさな
楽しみを見つけ、誰も恨まずに笑いながら暮らしていくのだ。
貧しい生活のきらめくような細部と子どもたちの成長に胸を打たれずに
いるのは、誰にとってもむずかしいことだろう。



ものすっごく暗い話なんですけどね。生活のキーマンとなる長男以外は
お母さんからベランダにも出ちゃいけない、って言われて律儀にそれを守っている。
外の世界を知らないんですよ。
それでも四人で楽しく暮らしているんです。
この映画も「クレイマー、クレイマー」みたいに食事のシーンが何回か出てきます。


結末はわかっているのに、ぼくはこの楽園がずっと続けばいいと思っていた。
後半の一時間は涙をこらえるので精いっぱい。家で観ていたら絶対大泣き
していたはずだ。
演出は抑制が利いた、センチメンタリズムとは対極の手法である。泣かせの
あざとさとは無縁で、それが逆に胸を揺さぶるのだ。



正直言って私はこの映画に「泣き」を期待して行ったのですが、
泣き続けることは無かったです。
石田衣良が書いているように、全然あざとくなくて淡々としてるんですよ。
音楽もゴンチチで、あの軽やかなギターが流れている。

でも心はがーんと打たれました。
隣に座ったカップルの男はずっと泣いてましたね。


映画が本来もっていた静かな驚異を再発見するために、この夏、四人に会いに
いってもらいたい。「誰も知らない」は、子どもでいることの幸せと悲しみを、
きっと切れるような鮮やかさで思いださせてくれるはずだ。



この映画は、よくある娯楽映画ではありません。
ストーリーも日常を描くだけで劇的なことは起こらないし(一回あるか)、
ラストもこれから一体どうなってしまうんだろう、といった感じで終わります。

それでも今のとこ今年のベスト1ですね。
良かったです。

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